【※涙の物語】「クレヨンしんちゃん22年後の物語」ファンが作った作品が公開され、日本中が涙!!

……風間くんは、間もなく海外へ出発する。

海外の支社では、しばらく忙しいだろう。

新しく出来る支社なら、それも仕方ない。

おそらくは、数年……下手すれば、それ以上は帰らないだろう。

「……しんのすけさん。ひまわりちゃんが風間くんに付いて行くということは……」

「――あいちゃん。今は、二人を祝福しよう。そして、笑顔で見送るんだよ」

「……はい」

あいちゃんは、沈んだ表情のまま小さく頷く。

……ひまわりの結婚式は、間もなくだ。

~式当日~

「――しんちゃーん!」

外にいたオラへ、まさおくん、ねねちゃん、ぼーちゃんが声をかける。
振り返れば、そこには、スーツやドレスを着こなした、笑顔の三人が。
……笑顔、ということは、まさおくんは、まだねねちゃんの本当の気持ちを知らないようだ……

「ん?どうしたのしんちゃん?なんか顔に付いてる?」

まさおくんは、不思議そうな顔をしていた。

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「……いや、なんでもないよ。それより、今日は来てくれてありがとう。ひまわりに代わって、お礼を言うよ」

「何言ってんのよ。風間くんとひまわりちゃんの結婚式じゃない。たとえ嵐が来ても来るわよ」

「うん。僕も、二人を見てみたい」

ねねちゃん、ぼーちゃんは笑顔で返事を返す。

「僕もだよ。……もちろん、次は僕だけどね……」

まさおくんはボソリと呟きながら、頬を染めてねねちゃんを見ていた。

(まさおくん……“知らぬは仏、見ぬが神”とは、よく言ったものだな……)

心の中でまさおくんに合掌をしながら、頭を一度下げた。

会場に来たのは、ねねちゃんだけじゃない。

ななこさん、園長先生、むさえさん……色んな人が、そこにいた。これまでオラ達が出会ってきた人たちが、笑顔でそこにいた。
この式は、かなりの急なスケジュールで開催されている。
それにも関わらず、これほどまで人が集まったことには、感謝してもしきれない。

(ひまわり……風間くん……。みんな、祝福しているよ)

思わず、青空を仰ぎ、準備をしているはずの二人に言葉を向けた。
それに応えるように、空には番いの鳥が、仲睦まじく飛び回っていた。

みんなが笑顔で見送る中、式は始まった。

白いタキシード姿の風間くんと、純白のウェディングドレスを着たひまわり……風間くんは、車いすのひまわりを後ろから押しながらバージンロードを歩く。

風間くんはさることながら、最初にひまわりの姿を見た時には驚いた。

ひまわは、とても綺麗だった。
これまで一番近くで見ていたはずだった。でも、目の前にいるのは、間違いなく一人の女性だった。
純白に包まれた彼女の姿を見ていると、何だか感慨深くなる。
ずっと子供のように見ていたが……いつの間にか、彼女は大人になっていたようだ。

式が終わると、簡単なパーティーへと移る。
ひまわり達の結婚式が主ではあるが、どちらかというと、同窓会のようにも見える。
もちろんパーティーの中心にはひまわり達がいたが、それぞれの近況を報告し合い、酒を交わし、昔話に花を咲かせる……その光景には、温かみがあった。会場全体が、緩やかな時間の中にあった。

それを満足そうに眺めていると、突然、会場が真っ暗になった。
ざわざわとする会場の中、スポットライトがオラとひまわりを照らし出した。

(……なんだ?)

会場中の視線を受ける中、車いすに座ったひまわりは、風間くんが持つマイクに向けて話す。

「……会場のみなさん。今日は、私達の結婚式に出席していただき、本当にありがとうございます。
――皆様には申し訳ありませんが、今日この場にいる、私のお兄ちゃん……兄に、言葉を送りたいと思います。
少しの間、お付き合いください……」

会場中は、水を打ったように、静まり返る。全員が話を中断し、彼女に視線を送っていた。
その中で、ひまわりは手紙を手にし、静かに、囁きかけるように、読み始めた。

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