【※涙の物語】「クレヨンしんちゃん22年後の物語」ファンが作った作品が公開され、日本中が涙!!

「……はあ」

そして、やはりここでため息を一つ。
このコンボは、最近のあいちゃんの鉄板なのだ。

「……お疲れ様」

そんなあいちゃんに、オラは笑顔でコーヒーを差し出す。

「あ……ありがとうございます。しんのすけさん」

あいちゃんも笑顔でコーヒーを受け取るが、その笑顔は、どこか無理やり作っているようにも見えた。
それを証明するかのように、オラから視線を外すやいなや、あいちゃんは再び、重い表情に戻していた。

どうするか迷ったが、オラは直接聞いてみることにした。

「……あいちゃん、最近疲れてるね……。何かあったの?」

「……少し、思うことがありまして……。いつも気を使わせてしまって、申し訳ありません……」

「いや、それはいいんだけど……何か悩んでいるなら、オラにでも相談してよ。出来る限り力になりたいし」

(本当に力になれるかはなんとも言えないけど……)

「……ありがとうございます、しんのすけさん」

[add]

あいちゃんは、再び力ない笑顔をオラに向けた。

何に悩んでいるかは分からない。だけど、オラは彼女のボディーガードであり、友達でもある。
相談してくれるかは分からないけど、もし言ってきた場合は、出来る限り力になろうと決意する。

……そう思った、わずか数日後のことだった……

「――え!?あいちゃんが行方不明!?」

「はい!送迎係の者が、少し目を離した隙にいなくなってしまったようで……」

会社に出勤したオラに、秘書の女性が慌てながら伝えてきた。
あいちゃんが、どこにいるか分からないという。

「GPSとかであいちゃんの場所は分からないんですか?」

「それが、あい様はGPS機能つきの携帯電話、バッグ、靴等をすべておいて行ってしまっているようで……」

(靴にまで……さすがはあいちゃん……)

などと感心している場合ではない。
いなくなったのは自宅敷地内から。そして、寸前まで送迎の車に乗車していた。
状況から考えるに、誘拐の線は薄いだろう。あいちゃん自らが、どこかへ行った――そう考えるのが、妥当だと思う。

ではいったい、彼女はどこに行ってしまったのか……
手がかりは、今のところない。
酢乙女家の監視体制を熟知している彼女にとって、その目を逃れるのは容易いのかもしれない。

「……とにかく、オラも探してみます」

「は、はい!よろしくお願いします!」

オラは急いで会社を飛び出した。
今のところは誘拐ではない。……だが、超大企業のご令嬢がうろつき回っていては、そういう“目”に変わる可能性だって十分考えられる。

(あいちゃん……どこ行ったんだよ……!)

不安な気持ちを抱えたまま、オラは高層ビルが立ち並ぶ街を走り回った。

「はあ……はあ……」

しばらく走り回ったオラの息は、すっかり上がってしまっていた。
行きそうなところを手当たり次第走りまわったが、結局あいちゃんの行方は掴めないままだった。

(もう少し、探す範囲を広げてみるか……)

オラは汗だくのスーツを着替えるべく、いったん家に向かった。

あいちゃんは、いったいどこに行ってしまったのか。そして、どうしていなくなってしまったのだろうか。
最近のあいちゃんの様子は、明らかにおかしかった。
オラに、もっと何か出来ることがあったのではないだろうか……

そんなことを考えながら自宅に戻ったオラは、ネクタイを緩めながら玄関を開ける。
今日は、ひまわりは風間くんと遊びに行っていて、誰もいなかった。
誰もいない家に、オラは一人帰りを伝える。

「……ただいま」

「おかえりなさい。しんのすけさん」

「ああ、ただいま、あいちゃん……」

オラは笑顔を見せる彼女に同じく笑顔を返して、家の奥に向かい…………

………………って

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