まさおくんは、まさに子供たちのおもちゃにされていた。
しかしまあ、ポジティブに考えるなら、子供に懐かれたということかもしれない。それはそれで、きっといいことだぞ、まさおくん。
「しんのすけくん、まさおくん。今日は来てくれてありがとう。子供たちも喜んでいたよ」
チーターは笑顔で謝辞を述べる。
キラリと光る白い歯。この男、どこまでもイケメン。
「ほんとほんと。今後も、定期的に来てほしいくらいね」
「勘弁してよ……あ、そろそろ先生のとこに行かなきゃ」
まさおくんは腕時計を見た後、オラ達のもとから走り始めた。
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「先生って……アシスタントの仕事?」
「うん!今から最後の作業なんだ!――じゃあね!」
そう言って、まさおくんは駆け出す。
そんな彼に、ねねちゃんは声をかけた。
「まさおくん!がんばってね!それと!漫画家デビュー、出来るといいね!」
ねねちゃんの声援を受けたまさおくんは、足を止め振り返る。そしてキメ顔を見せ、親指を立てた。
「……任せといてよ。ねねちゃんのために……頑張るよ!!」
そして彼は、さっきまでの2倍の速度で、走り去っていった。
……そんな彼の脳裏には、敵情視察などというフレーズは、すっかり抜け落ちているのだろう。
オラの情報収集は、無駄に終わったのかもしれない。別にいいけど。
それから三人で雑談をしながら歩いていると、ふいにチーターが何かを思い出した。
「――あ、そうそう。しんのすけくんに、渡そうと思ってたものがあるんだ……」
「え?オラに?」
「うん。ちょっと待って……」
そう言って、彼は手持ちのバッグをごそごそとあさぐる。そして、一枚の手紙を差し出してきた。
「……はい、これ」
「……これって……」
オラは、思わず立ち止まった。
彼が渡してきたもの。それは……
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