「うわっと……す、すみません。考え事をしていたもので……」
「い、いえ、こちらこそすみません……ん?」
「……ん?」
オラは、その人物を見て驚いた。
そこにいたのは、例のイケメンだった。
しかしながら、向こうも向こうでオラを凝視していた。
何度見てもイケメンだなぁなんて思いながら、とりあえず聞いてみた。
「ええと……何か……?」
するとイケメンは、意外なことを口にした。
「……あの……失礼ですが、もしかして、野原しんのすけさんですか?」
「……へ?」
「……そうだったんですか。ねねちゃんから……」
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「はい。しんのすけくん達のことは、桜田先生からよく聞いています」
オラとイケメンは、行く方向が同じだったため、二人ならんで歩いていた。
なんでも、ねねちゃんは、よくオラ達の話をするらしい。
それにしても、よくオラって分かったな……イケメンは、第六感までも凄まじいのかもしれない。初対面でくん呼ばわりするあたり、少し馴れ馴れしいが。
「……そう言えば、保育士さんなんですよね?」
「ええ。一応……」
イケメンは、照れながら頭をかいていた。どうでもいいが、いちいちイケメンで困る。
「いやいや、幼稚園ではさぞや人気があるでしょう」
「そうでもないですよ。普通くらいです。それに、僕なんかより、桜田先生の方がよっぽど人気がありますよ」
「……マジですか?」
「マジです。……桜田先生は、本当にパワフルですからね。こういう言い方をすれば語弊があるかもしれませんが、子供のような人なんです」
「へえ……というと?」
「子供が笑えば一緒に笑って、子供がケンカすれば一緒になって暴れて、子供が泣けば、今にも泣き出しそうな顔をしながらあやす……桜田先生は、子供達と同じ目線に立てる人なんですよ。
おまけに、少し変わった親が無理難題な容貌を言ってきても、断固としてそれに応じたりしませんし。あくまでも、子供達を基準に考えているんです。
その姿勢が、保護者、同業者、子供達から、高い評価を得てるんですよ。
……それは、見ていて羨ましいくらいです」
「そうなんですか……」
「ああ、誤解しないでくださいね?僕が羨ましいと言ったのは、僕にはない色々な魅力を、彼女が持っているからなんです。
……彼女はね、僕の憧れなんですよ。僕もああやって、自然体で子供達と向き合いたいんです」
「……あなたなら、きっとできますよ」
「そう言ってくれると嬉しいですね」
イケメンは、嬉しそうにはにかんでいた。
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