「……それで?なんの用?」
「ああ。……風間くんさ、ひまわりのこと、どう思ってる?」
「……え?」
「率直に、今の気持ちを聞きたいんだよ」
「……どうって……」
「……」
「……」
一度苦笑いを浮かべた風間くんだったが、彼はすぐにオラの目を見た。
そして、顔を引き締めて、改めて口を開く。
「――当然、好きさ。出来るなら、彼女と添い遂げたい――」
「……」
「……」
……彼の目に、嘘はなかった。
彼の視線は、どこかに逸れることもなく、ただ真っ直ぐオラに向けられていた。
「……よかった……」
「……?」
オラの呟きに、風間くんは首を傾げる。
「……風間くん、ちょっと来てよ」
「え?」
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「いいからさ。付いて来て」
「……また、僕を連れ回す気か?」
「そんなんじゃないって。……ただ、あの日に戻るだけだよ」
「……どういうことだよ」
「いいからいいから」
「……」
少し、強引に風間くんを連れ出した。
彼は最後まで首を捻っていたが、今はそれでいい。
……とにかく、来てさえくれれば、それでいいんだ。
「――しんのすけ……ここって……」
オラが案内した場所で、風間くんは周囲をキョロキョロ見渡していた。
そこは、風間くんとひまわりが決別した場所。そして、オラが風間くんから全てを聞いた場所。
ひまわりの涙が生まれた場所。オラの葛藤が生まれた場所。
終わりであり、始まりでもある場所……
――あの、公園だ。
前の日と違い、空は晴れ渡っていた。日射しが木々に降り注ぎ、そして木々は、一生懸命に太陽に向かって葉を伸ばす。
少しでも光を掴むかのように。少しでも、温もりに近づくかのように。
……そう、太陽に、触れようとしているんだ。
「……風間くん、ほら……」
「……あれは……」
オラが指し示す方向に、風間くんは目を凝らす。
そしてそこにいた人物を見た時、彼は目を大きくして、名前を口にした。
「……ひまわり、ちゃん……?」
「……風間くん……」
「………」
公園の真ん中で、ひまわりと風間くんはお互いを見つめたまま、動かなかった。
何も言わず、ただ向かい合う二人。
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