「………しんのすけ、さん?」
「あいちゃん、ちょっと来て」
少し強引に、彼女の体を引っ張る。
彼女は、わけのわからないといった表情で、ただオラに手を引かれていた。
「しんのすけさん!いったいどこへ……!!」
「………」
オラはただ、その場所を目指す。
そこはさっき見かけた場所。少しだけ高い岩場。
オラは彼女の手を掴み、岩場を駆けあがる。
「し、しんのすけさん……そっちは、海ですよ?」
「大丈夫。オラも一緒だから」
「で、ですけど……」
そして岩場の頂上に辿り着いたオラは、下を見る。
下は透き通るような海だった。他に岩はなさそうだ。
これなら……
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「……しんのすけさん?」
不安そうにオラの顔を窺うあいちゃん。オラは、彼女に微笑みを向けた。
「……飛ぼうか、あいちゃん」
「……え?―――きゃっ!」
オラは彼女の手を引っ張り、海に飛び込んだ。
海面に落ちるなり、辺りには水しぶきが舞う。
塩水が口に広がる。目が少し痛い。
そしてオラとあいちゃんは、海水でずぶ濡れになった。
あいちゃんのブラとパンテーが透ける!
「うぅぅ……ヒドいです、しんのすけさん……」
あいちゃんは服の裾を絞りながら、恨めしそうにオラを見た。
「ごめんごめん。……でも、少しすっきりしたでしょ?」
「……確かに、それどころじゃなくなりましたけど……」
「でしょ?ハハハ!」
「……もう、笑いごとじゃないですよ」
そう言いながらも、あいちゃんは笑っていた。
その笑顔を見たオラは、少しだけ安心した。
「……それで、いいんだよ」
「え?」
「あいちゃんの苦悩とかは、正直オラにはどうすればいいのか分かんないよ。だけど、こうやって嫌なことを忘れて、笑ってもらうことは出来る。
辛い時とか、苦しい時は、そうやって笑うのが一番なんだよ。落ち込んでいるときに色々考えても、結局泥沼にはまっちゃうものだし。
笑って、心をスッキリさせて、そしてもう一度考えるんだ。どうしていくのか……どうしたいのかを。
――そうやって、オラは毎日生きてる」
「………」
「あいちゃん……今日は一日、思いっきり笑おうよ。そしたら、何かが変わるかもしれない」
「……そう、ですね……」
するとあいちゃんは、水にぬれた靴を脱ぎ捨てた。
「……しんのすけさん!もう一度、飛び込んでみたいです!」
「……うん!行こうよ!一緒にさ!」
それからオラとあいちゃんは、海で遊び回った。
彼女にとって、こうやって服のまま海で遊ぶのは、初めてなのかしれない。
彼女は笑っていた。凄く楽しそうに。
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