でもオラは、見極めるつもりだった。
本当に、ひまわりにとってどうするのが一番いいのか。オラが、どうしたいのか。そして……
次の休み、オラとひまわりは街に来ていた。
車椅子を押しながら、建ち並ぶ店を眺める。
ひまわりもまたキョロキョロと辺りを見ていたが、どこか動きが硬い。
まだ、色々気になっているのかもしれない。
「……ひまわり、今日は色々見て回るからな」
「う、うん……」
……どうやら、ひまわりは動揺しているようだ。
オラが急に出かけるって言ったからだろう。
「……あ、そうだ。ちょっと寄り道していいか?」
「え?別にいいけど……」
ひまわりの許可をもらい、オラはとある場所に向かう。
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そこは、街の駅前だった。
その場所に来たひまわりは、さらに首を傾げていた。
「……駅?隣町にでも行くの?」
「いや、行かないよ。ちょっと、ここで―――」
「――しんのすけ!」
後ろから、名前を呼ばれた。
振り返ると、ここに来た目的である、その人物が立っていた。
「……風間くん、待たせて悪かったね」
「え!?風間さん!?」
ひまわりは、驚いたように後ろを振り返った。そして彼女を見た風間くんも、彼女を見たまま固まる。
「……ひま……ちゃん?」
そんな二人を他所に、オラはひまわりを押して歩き始めた。
「ほら、行くよ二人とも。今日は、三人でお出かけだ」
「―――ッ!?」
「―――ッ!!」
二人は、更に表情を固めていた。
それからオラ達は、3人で街を周っていた。
最初風間くんとひまわりは、オラに気を使いながら歩いていた。
それもそうだろう。先日あんなことがあったばかりだし。
……でも、オラはあえて普段と変わらず二人と接した。
本音を言えば、オラも気まずいことこの上なかった。でも、オラまで気を使ってしまったら、今日ここに二人を並べた意味がない。
オラは、積極的に二人に話しかけた。
「風間くん、この服似合いそうだね」
「あ、ありがと……」
「ひまわり、あっちにアイスがあるから食べようよ」
「う、うん……」
二人は、腑に落ちないような顔をしながら、街を周る。
それでも、時間が経つにつれ、徐々に緊張は途切れていった。
そして最後には、二人は、普段の通りの笑顔を見せながら歩いていた。
頃合いを見計らい、少しだけ二人と距離を置く。
「――風間くん!これ見て!」
「ああ!これ可愛いね!」
「でしょでしょ!?」
「うん!ひまちゃんに似合いそうだ!」
……二人は、とても楽しそうだった。そして、幸せそうだった。
特にひまわりは、普段家では見せないような笑顔を見せる。家族に見せるものとは違う、全く別の笑顔……
この笑顔を作れるのは、きっと風間くんがいるからだろう。
おかげで、ようやく心が晴れた気がした。
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