しかし家とは別の方向に歩いていた。このまま素直に家に帰るのは、少し複雑だった。
フラフラと商店街を歩く。
一体どうすればいいのか、改めて自分に聞いてみる。……返事は、出来なかった。
「――しんちゃん」
ふと、後ろから話しかけられた。
「……ん?」
後ろを振り返ると、そこにはぼーちゃんがいた。
「ああ、ぼーちゃんか……仕事帰り?」
「うん。……ねえ、しんちゃん」
「うん?なに?」
「……ちょっと、いい?」
ぼーちゃんは、何かを訴えるかのような目をしながら言ってきた。
何か、話があるのだろうか……
ぼーちゃんに誘われるまま、オラ達は近くのファミレスに移動した。
ファミレスの中は、客が疎らだった。
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ぼーちゃんはコーヒーを飲みながら、小難しい顔をしていた。
「それで……ぼーちゃん、話があるんでしょ?」
「……うん」
ぼーちゃんはコーヒーカップを置き、オラを見た。
「……僕、この前、風間くん達を見た」
「……え?」
「公園で、話してた。……ひまわりちゃん、泣いてた」
ぼーちゃんは、沈んだ表情でそう話す。
「……ひまわりが……どんな話かは、聞いたの?」
「詳しくは、聞けなかった。……でも、二人とも、とても悲しそうだった……」
「……そう……」
おそらくは、ひまわりとぼーちゃんが言うことが本当なら、たぶん別れ話をしていたんだろう。
そして、ひまわりは泣いていた―――それが意味することは、おそらく一つしかないだろう。
思案に耽っていたオラに、ぼーちゃんは声をかける。
「……僕、二人のことは、よく分からない。何があったかも、分からない。
でも、二人に、あんな顔、してほしくない。それは、しんちゃんも同じだと思う」
「ぼーちゃん……」
そしてぼーちゃんは、もう一度コーヒーを飲む。
「しんちゃん……キミは、僕の大切な友達。キミのことを、信じてる……」
ぼーちゃんは、それ以上何も言わない。
……いいや、きっとそれだけで十分だと思ってるんだ。オラを、信じてるんだ……。
「……分かったよ、ぼーちゃん。オラ、やってみるよ」
少し大きく、返事を返す。ぼーちゃんは、ニコリと笑っていた。
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