【※涙の物語】「クレヨンしんちゃん22年後の物語」ファンが作った作品が公開され、日本中が涙!!

「それ、家族だけど、オラへの確認は!?」

「そんなもの必要ありません。私としんのすけさんが結婚することは、すでに決定事項ですし」

「えええ……」

「……あら、もうこんな時間。すみませんが、会議に出席してきます」

あいちゃんは、愕然とするオラを置いて、部屋の出入り口に向かって行った。

「ちょ、ちょっとあいちゃん!まだ話は―――」

「――しんのすけさん。一つ、言っておきますね」

部屋の入り口を開けたところで、オラの方を振り返る。
そして、不敵な笑みを浮かべた。

「――私も父も、かなり“しつこい”ですから。あしからず……」

そう言い残したあいちゃんは、部屋を出ていった。

残されたオラは、ただ愕然とするしかなかった。

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それからのあいちゃんの押しは凄まじかった。

一つ、開き直ったのかもしれない。

弁当作りに出張という名のドライブ……一切引くことのないその様は、さしずめ防御を捨てた突撃兵といったところか。
家に帰れば、ひまわりからは結婚を勧められる毎日。

「はぁ……」

思わず、ため息が出てしまった。

「……どうしたんですか、しんのすけくん。ため息なんて吐いて……」

車を運転する黒磯さんは、視線を前に向けたまま聞いてきた。

「い、いえ。ちょっと最近、疲れてまして……」

「……お嬢様、ですか?」

「ハハハ……」

“はいそうです。”……などと返すわけにもいかず、とりあえず失笑で茶を濁す。
すると黒磯さんは、ふっと笑みを浮かべた。

「……少しばかり、大目に見てあげてください。お嬢様は、ご自身でも接し方があまり分からないのです」

「……小さい時には、ここまでなかったんですよ。ちょっと、びっくりしちゃいまして……」

「確かにお嬢様は、幼少時からしんのすけくんお慕いしておられました。
……ですが、やはり幼児期と今では、想いの位置が違うものです」

「想いの、位置……」

「はい。幼児期には、憧れが大きなシェアを占めるものです。しかし今は、それとは別の何かに惹かれています。
小さな頃から変わらない想い……しかし、実際の心境は、あの頃とどこか違うと違和感を覚えているはずです。
――故に、お嬢様自身、戸惑っているところもあるのです」

「……」

「ですから、今は暖かく見守ってあげてください。
これはボディーガードとしてではなく、私自身からの願いですよ」

「……黒磯さんは、大人ですね。凄くダンディーだと思います」

「ハハハ……私は、ダンディーなどではありませんよ。
――私はただの、黒磯です」

(……ダ、ダンディーぃ……)

黒磯さんからそうは言われても、やはりあいちゃんからの圧は相当なものだった。

ようやく仕事が終わり、ヘロヘロになって帰宅する。
しかしまあ幾分か慣れたところはあった。
それが救いかもしれない。

「お兄ちゃんさ、なんではあいちゃんと結婚しないの?」

ひまわりは、実に不思議そうに聞いてくる。

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