【※涙の物語】「クレヨンしんちゃん22年後の物語」ファンが作った作品が公開され、日本中が涙!!

「……何か、事情がおありなんですね……」

彼女の場合、黙るだけ無駄だろう。すぐに調べられる。
オラは、ことの次第を話した。心の内にある、思いも含めて。

「――なるほど。しんのすけさんも、辛かったでしょ」

「いや、オラがただ、最低なだけだよ……」

「そんなこと、ありません」

あいちゃんは、椅子を回転させ、オラの方を向く。

「人の気持ちというのは、そう簡単に割り切れるものではありません。時には、何かを恨みたくなるときもあるでしょう。
それは、いくら心が強くても、誰にでも起こり得ることなんです。
……ですから、今のしんのすけさんを、私は責めたりしませんし、軽蔑したりもしません。
その辛さは、あなたにしか分からないことなんです」

「……」

「……ですが、風間さんも、ひまわりさんも、しんのすけさんにとって、かけがえのない人ではありませんか?
それは旧来からの友であり、大切な肉親であり……どちらも、しんのすけさんという人にとって、大切な人なんじゃないんですか?」

「……うん」

「でしたら、努々忘れないで下さいね。
――二人もまた、あなたを大切に思ってることを……」

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「……」

「……私が言えるのは、それだけです」

そしてあいちゃんは、仕事に戻った。
彼女の言葉は、とても響いていた。オラの心に、刻み込まれていた……

帰り道、オラは河原の芝生に座り込んでいた。
時刻は黄昏時。鳥たちは誰かに呼びかけるように、鳴き声を出しながらどこかへ飛び去っていた。

ここでどうしようというわけでもない。
昨日あんなことがあって、家に帰るのが気まずいから、時間を潰しているだけだった。

(こんなに心が狭かったんだな、オラ……)

ふと、今の自分に苦笑いが零れた。

あいちゃんの言ったことは、分かってるつもりだ。
全部、オラは分かっていた。

ひまわりの事故で一番責任を感じているのは、おそらく風間くんだろう。
だからこそ、ああしてオラに全てを話してきたんだと思う。

そしてひまわり……
彼女が毎日見せる幸せそうな顔を見れば、風間くんとの付き合いがどういうものかが、自然と分かる。
常に笑顔であった陰には、オラだけじゃなくて、風間くんのおかげであった面も大きいのだろう。

……そんなことは分かってる。分かってるけど、どうしても心の歪みのようなものが取れなかった。
こんなの、オラがただふてくされてるだけだろう。
ホント、子供みたいだ……

「――あれ?しんちゃん?」

「ん?」

後ろから、唐突に話しかけられた。
そこに立っていたのは、ななこお姉さんだった。

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