「で、でも、まだ付き合ってるって決まったわけじゃないし……」
「――当たり前だよ!付き合ってなんかいるもんか!!」
突如、まさおくんはテーブルをバンと叩き立ち上がった。
「しんちゃんも見たでしょ!?あんだけイケメンなんだ!絶対に、何か狙いがあるんだよ!
あんなイケメンが、ねねちゃんを相手にするはずなんてないし!!」
まさおくんは、見ていて清々しいほど、はっきりと断言したっ!!
(………おい)
「きっと、ねねちゃんの気持ちを弄んでるんだよ!!許せない!!絶対に許せない!!
……僕が、ねねちゃんを助けるんだ!!!」
まさおくんはさっきまでの屍のような雰囲気を一変させていた。
そこにいるのは、まさに愛の戦士だった。背後に燃え盛る炎が見える。
……言ってることは滅茶苦茶だが。
「……ていうかまさおくん。まさおくんって、ねねちゃんが好きなんだね……」
「当たり前だよ!!!」
またもや断言された。
[add]
「ねねちゃんは、ずっと僕と遊んで来たんだ!!それをポッと出の腹黒野郎に、盗られてたまるかってんだ!!!」
(まさおくん、キャラ変わってるよ。あと、言ってることやっぱり無茶苦茶……)
「こうしちゃいられない!!あの男の本性を……突き止めてやる!!そして、ねねちゃんに突き付けてやるんだ!!」
そしてまさおくんは喫茶店を飛び出していった!!
「あ!ちょっと!まさおくん!!」
オラの呼び掛けに一切答えることなく、愛の戦士は出ていった。
「……会計、忘れてるよ……」
……オラに、伝票を突き付けて……
仕方なくまさおくんの分まで清算したオラは、家に帰っていた。
まあ、後日請求すればいいだろう。
それはそうと、まさおくんはすっかりねねちゃんにゾッコンのようだ。
もしかしたら、ねねちゃんを彼に奪われようとしたことで、自分の中の気持ちにはっきりと気付いたのかもしれない。
失われかけた寸前、もしくは失われた後に、初めてその大切さを知る……人生においては、往々にしてあり得ることだろう。
それにしても、もし仮にライバル(?)だとするなら、まさおくんには悪いが、かなり分が悪い気がする。
何せ、相手は超絶イケメンだし。
(………居酒屋、予約しておくかな……)
オラは頭の中で、まさおくんを元気づける会の計画を立て始めていた。
――と、その時。
ドン
曲がり角を曲がったところで、オラは人とぶつかった。
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