遠くの太陽が水平線にそろそろ落ちるかという時間。
オラとあいちゃんは、駅まで歩いていた。もうすぐ、最終電車の時間が迫っていたからだ。
これからどこに行くかは分からない。ただ、こんなところで野宿するわけにもいかない。
二人ならんで、畦道を歩く。
昼間来た時よりも、足元から伸びる影は長い。
「……しんのすけさん、今日はありがとうございました」
あいちゃんは、改めて頭を下げて来た。
「今日は、いいリフレッシュになれました。服が濡れてしまいましたけど、後日弁償を……」
「ああ、それはいいよ。ひまわりにはオラから言っておくから」
(たぶん、激怒されるだろうけど……)
「……そう、ですか。でも、今日という日は、私は忘れません」
「大袈裟だなあ」
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「そんなことないです。今日は、本当に充実した日になりましたし。
――ですが、それも終わりのようです」
「……え?」
あいちゃんは、歩く先を見つめていた。その方向には、スーツ姿の男性が3人……
「あれは……」
「………」
男性たちは、何も言わずにオラ達のもとへ歩み寄ってきた。
「……お迎えに参りました、お嬢様……」
男達はあいちゃんに深々と一礼する。
「……お迎えって……」
「……おそらく、父が……」
あいちゃんは、寂しそうに呟いた。
「………」
あいちゃんは、さっきまでの暖かい表情から、とても暗い、沈んだものに変わっていた。
「さあ、お嬢様……いつまでも、お父様方に迷惑をかけてはいけません」
「………ッ」
男の一人が、あいちゃんに手を差し出す。
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