【※涙の物語】「クレヨンしんちゃん22年後の物語」ファンが作った作品が公開され、日本中が涙!!

……ななこさんの、結婚だ。

オラが小学校の時のことだった。

ななこさんは就職し、同じ職場の男性と結婚した。

とても、いい人だった。その人を見た時、オラは全てを諦めた。

この人なら、ななこさんを幸せに出来る――小学生ながら、生意気にも、そんなことを考えていた。

しかしまあ、ひたすら泣きまくったものだ。

そんなオラに、父ちゃんは言った。

『想いが成就することは、人生の中では少ない。人は誰かと出会い、想い、こうして、いつか想いを断ち切らなければならない時が来る。

人生ってのは、そうやって繰り返されていくものだ。

――でもな、しんのすけ。大切なのは、その時に、どういう気持ちでいられるかってことだ。

ななこさんは、きっと幸せになる。本当にななこさんの幸せを思うなら、彼女の門出を祝ってやれ。

泣きたいときは、父ちゃんが一緒に泣いてやる。

だから、祝ってやれ。それが、お前に出来る、最大の愛情表現だ―――』

そしてななこさんは、結婚した。

今では、二児の母となっている。時々家にも遊びに来る。幸せそうな彼女の笑顔を見ると、こっちまで幸せになる。

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憧れは思い出に変わり、思い出はいつまでも心を温めてくれる。

そうやって、人は大きくなる―――

これも、父ちゃんの受け売りだ。

(ひまわりも、いつか結婚するんだろうな……想像も出来ないけど)

ひまわりのことを思うと、思わず笑みが零れた。

どうもオラはひまわりに甘いところがある。

たった一人の妹で、大切な家族。オラの、大切な。

今はただ、彼女の幸せを祈りたい。

父ちゃん達が他界した時、ひまわりは塞ぎ込んでしまった。

学校にも行かず、ずっと仏壇の前で泣いていた。

今では、それも嘘のように元気だ。

でもひまわりは、家族がいなくなることにトラウマが残っている。

一度、オラが事故で病院に運ばれた時、泣きながら病院に駈け込んで来た。

病室で眠るオラに、大声で泣きながら『置いてかないで』と叫んでいた。

オラは寝てるだけだったのにな。

今はどうかは分からない。

ただ、彼女を心配させないためにも、オラは元気でいないといけない。

今のところ生活も安定している。

このまま、平穏に暮らせていけば、それ以上に嬉しいことはない。

「……そろそろ寝るかな」

寝室に戻ったオラは、布団に潜った。そして、静かに目を閉じた。

それから数日後、オラはとある居酒屋にいた。

「――かんぱーい!」

そこにいる全員が、高らかにジョッキを掲げる。

「風間くん、海外出張お疲れ様!」

「みんな、ありがとう!」

その日は、風間くんの帰国祝いが催された。

風間くんは、外資系の会社に勤めている。

数年前から海外出張をしていて、先日帰国したばかりだ。

「ホント、風間くんもすっかり一流サラリーマンね」

ねねちゃんが、感慨深そうにそう話す。

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