「……でも、心が潰れようとした時に、ひまわりはいつも笑うんですよ。笑いながら、お兄ちゃんお兄ちゃんって言って来るんですよ。
何だか笑えませんか?本当はキツいオラに、笑いかけてくるんですよ?
……もう、笑うしかないじゃないですか……そんな顔されたら、どれだけ辛くても、笑い返すしかないじゃないですか……。
……でもね、不思議なんですよ。笑ってると、それまで締め付けられていた気持ちが、何だか楽になるんですよ。
――そん時、オラ気付いたんです。
ひまわりを支えようと思っていたけど、支えられていたのは、オラの方だったって」
そしてオラは、四郎さんを見た。彼はただ黙って、オラの話を聞いていた。
「……四郎さん、あなたを支えてくれる人は、どこかに必ずいます。笑顔を向けてくれる人は、必ずいます。
それは両親だとか友人だとか……あなたの身近に、いるはずなんです」
四郎さんは、項垂れた。そして、手で顔を覆いながら声を漏らす。
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「……そんなもの、僕にはいないんだよ。両親からは勘当され、友達もみんな離れていった……。そんな僕に、笑顔を向ける人なんて、いないんだよ……」
「――オラがいますよ」
「………!」
「オラは、四郎さんが、本当は優しい人だって、よく分かっています。それに、父ちゃんと母ちゃんなら、きっとあなたに笑顔を向けていたはずです。
一人だなんて言わないでください。もっと、よく見てください。
――オラ達は、友達じゃないですか……」
「……ありがとう……ありがとう、しんちゃん……」
四郎さんは、その場に崩れ落ちた。顔を隠していた手を力なく下げ、涙を流すその顔を、ただオラ達に見せていた。
「……四郎さん。友達として、もう一度お願いします。――もう一度、やり直しましょう。
これから先、きっとあなたなら頑張れるはずです。でももし辛くなったら、いつでもご飯を食べに来てください。
父ちゃんと母ちゃん、オラとひまわり、そしてあなた……5人でテーブルを囲んだあの日のように、また一緒に、ご飯を食べましょう」
「……うん……うん……!」
「……自首、してください。オラも一緒に、付き添いますから……」
「……あああ……うあああああ……!!」
四郎さんは、その場で泣き崩れた。床に額を押し当て、ただただ慟哭を響かせていた。
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