その部屋を出て恐る恐る階段を降りるとまたすぐに恐怖に包まれます。
廊下の先にある鏡台と髪。
この時点で三人はもう帰ろうとしますが、A母が問題を引き起こしてしまいました。
私達の時のD妹のように引き出しを開け中のものを出したのです。
A母が取り出したのは一階の鏡台の一段目の引き出しの中の「紫逅」と書かれた紙で、何枚かの爪も入っていたそうです。
さすがにやばいものでは、と感じた三人はA母を無理矢理引っ張り、
紙を元に戻して帰ろうとしますが、じたばたしてるうちに棒から髪が落ちてしまったそうです。
空き家の中で最も異様な雰囲気であるその髪にA母も触れる勇気はなく、四人はそのままにして帰ってきてしまいました。
それから二、三日はそのまま放っておいたらしいですが、親にバレたら…という気持ちがあったので、元に戻しに行く事になります。
B両親はどうしても都合があわなかったため、A母とE君の二人で行く事になりました。
夜中に抜け出し、ハシゴを使って二階から入ります。
階段を降り、家から持ってきた箸で髪を掴んで何とか棒に戻しました。
さぁ早く帰ろうとE君は急かしましたが、ホッとしたのかA母はE君を怖がらせようと思い、
今度は二段目の引き出しを開けたのです。
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「紫逅」と書かれた紙と何本かの歯が入っていました。
あまりの恐怖にE君は取り乱し泣きそうになっていたのですが、A母はこれを面白がってしまい、
E君にだけ中が見えるような態勢で三段目の引き出しを開けたそうです。
E君が引き出しの中を見たのはほんの数秒ほどでした。
何があった?とA母が覗き込もうとした瞬間、ガンッ!!と引き出しを閉め、ぼーっとしたまま動かなくなりました。
A母はE君が仕返しにふざけてるんだと思ったのですが、何か異常な空気を感じ、突然怖くなって一人で帰ってしまったのです。
家に着いてすぐに母親に事情を話すと、母親の顔色が変わり異様な事態となりました。
E君の両親などに連絡し、親達がすぐに空き家へ向かいます。
数十分ぐらいして、家で待っていたA母は親達に抱えられて帰ってきたE君を少しだけ見ました。
何かを頬張っているようで、口元からは長い髪の毛が何本も見えていたそうです。
この後B両親も呼び出され、親も交えて話したそうですが、E君の両親は三人に何も言いませんでした。
ただ、言葉では表せないような表情でずっとA母を睨み付けていたそうです。
この後、三人はあの空き家にまつわる話を聞かされました。
E君の事に関しては、私達に言ったのと全く同じ事を言われたようでした。
そして、E君の家族がどこかへ引っ越していくまでの一ヵ月間ぐらいの間、毎日A母の家にE君の両親が訪ねてきていたそうです。
この事でA母は精神的に苦しい状態になり、見かねた母親が他県の親戚のところへ預けたのでした。
その後A母やE君がどうしていたのかはわかりませんが、A母が町に戻ってきたのはE君への償いからだそうです。
(完)
いかがでしたか?
とても怖いお話ですね。
昔はこのように代々受け継がれる恐ろしい儀式があったのかもしれませんね・・・
出典元:youtube