外に出ると、昨日と同じでやはり何か1mちょっとくらいのものが動いている。
懐中電灯を向けようとすると、それはそのまま隣の別荘へと
スッと入っていってしまい見えなくなった。
いなくなったほうへ行くと、別荘の鍵はかけたはずなのになぜか玄関のドアが開いている。
とにかくここにこうしているわけにも行かないし、
何より鍵を閉めたはずなのに空いているのは事実なのだから、
中を確認しないわけにも行かない俺達は、3人で目配せすると中に入る事にした。
中に入ると、元からかび臭い建物ではあったのだが、
それ以外に何か生臭いような変な臭いが立ち込めている。
異様な雰囲気の中、俺は廊下の電気をつけようと
スイッチを探していてある事に気が付いた、
玄関の横、靴箱の上の壁に、花瓶が邪魔になって今まで見えていなかったのだが、
明らかにそれと解るお札が貼ってあり、電気をつけて良く調べてみると、
そこだけでは無く廊下の天井にもお札が貼ってあるのが解った。
俺とAとBは「やっぱそういうことかよ…」と顔を見合わせた。
するとその時、廊下の曲がったほうの奥、例のこの世を去りそうな猫がいたところあたりから
ギィ…と扉が開く音がした。
あの先には例の鍵がかかっていて開かなかった扉しかない。
そして、廊下の曲がり角からベチャ…ズズ…ベチャ…ズズ…と
何かを引き摺るような気持ちの悪い音がしてきた。
俺達は完全にビビってしまい、何も喋れず動けずその場で立ち尽くしていると、
廊下の角からこちらを何かが覗き込んだ。
俺達は息を飲んだ。