【※本当にあった奇妙なお話】夏休みの避暑地の別荘でのバイト。「別荘地で過ごせて金ももらえるのか、おいしいじゃん」と行ってみると・・・

Aは息を切らしながら「勢いで逃げてきたけど、どうすんだよ、俺達の荷物も置いたままだぞ」と。

それに続いてBも「わけも解らず逃げてきたけど、これからどうするんだ…?」と。

俺は2人に、「でも、これからまたあそこに戻るのか?」と聞くと、2人とも無言で首を振った。

その時、森の中からまたあの歌声が聞こえてきた。

Bが真っ青な顔で「あいつら追ってきやがった!」と大声で叫んだ。

俺たちは疲れていたが、それでもそこにいるわけには行かず

また真っ暗な山道を全力で走り出した。

それから更にどれだけ走ったか解らないが、ドライブインらしきところにたどり着いた。

勿論、こんな時間にやっているわけがないのだが、

それでも安心した気分になったのはたしかだった。

そして、俺がふと携帯を見るとなんとアンテナが立っている。

俺は急いでもらった名刺の電話番号に電話したのだが、

流石にこの時間では電話が繋がらない。

すると、Aが自分の携帯でどこかに電話し始めた。

Aは電話越しに何かやり取りしていたが暫らくすると

「とりあえず来てくれるって」と力なく答えた。

どこに電話したのか聞いてみると、どうやら警察に電話したらしい。

それから30分ほど、俺達はまたあの人形が追ってくるんじゃないか、

歌声が聞こえてくるんじゃないかとビクビクしながら待っていると、

回転灯を回したパトカーがやって来た。

パトカーを見た時、俺はこれからどう事情を説明した物かとか考えるよりも先に

心底ホッとして、その場にへたり込んでしまった。

何か完全に緊張の糸がほぐれたという感じだった。

パトカーに乗せられ、俺達はとあえず近場のビジネスホテルまで送ってもらえる事になった。

道中事情は一通り話したは話したのだが、当然のように全く信じてもらえず、

最終的に単なる見間違いという事にされてしまった。

まあ仕方が無いと言えば仕方が無いが…

ホテルの前で降ろしてもらい、警官にお礼を言って見送ったあと、

俺達は重大な事に気が付いた。

財布、別荘に置きっ放しだった…

結局俺達は日が高くなるまで近場の公園で野宿する事になった。

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