そこで、3人で勇気を振り絞り、薄暗い廊下を奥へと行ってみる事にした。
ミシ…ギシ…、床は湿気で相当モロくなっているらしく、
歩くたびにいやな音がしてくる、
それに奥のほうのガサガサいう音も消える気配が無い、
それでも勇気を振り絞って進んでいくと、
廊下の奥の暗がりに音の正体があった…
それは…腹の辺りからドクドクと血を流している猫だった。
まだ微かに生きているらしく、もがいて動き回るので
ガサガサと周囲に脚が当って音がしていたらしい。
俺達はそれを見た途端、
「うあああああああああああああああ!」と叫び声をあげてその場から逃げ出した。
別荘の外まで逃げ出し、暫らく放心状態でいたが、
Aが「あの猫、きっともうこの世を去った…何であんなところに…」と喋り出した。
俺も「そもそも何であんなところに大怪我した猫が?おかしいだろ!」というと、
Bが「とりあえずもう一回確認に行ったほうがよくないか…」と言ってきた。
確かにあのままにしてはおけないので、
俺達はもう一度廊下の奥へ行ってみる事にした、
が、行ってみるとさっき猫がいた場所には何もいない。
血らしい沁みはあるのだがそれだけで、あれだけドクドク流れていた血すらない。
3人とも「どういうこと?」という顔でお互いを顔も見合わせ、
周囲を探してみたのだがやはりいない。
廊下の奥には扉が1つあったのだが、鍵がかかっているらしくビクともせず、
そこにいるとも思えないので俺達はひとまず戻る事にした。
俺もAもBも訳が解らなかったし不気味だったが、
作業は終っていないし、もう日が高くなってきていたので、
怖さを紛らわすように荷物を運び出す作業を始めた。
昼飯中、Bがボソっと「面接もなしに即決だったのとか、やたら待遇が良いのとか、
作業するのが俺達だけで監督するやつも誰もいないのとか、
要するにこれが原因じゃねーの…?」と。
確かにそうだ、俺達は今更ながらこのバイトがやたら不自然で変な事に気が付いた。