2週間後、すでに職場に戻っていた姉は新幹線の駅に俺と付き添いの母親を迎えに来てくれた。
俺の咳の具合は相変わらずで新幹線の移動も大変だった。
駅からタクシーに乗りそのバーのある雑居ビルへと向かった。
バーに着き重厚なドアを開けるとカウンターの向こうにその女性オーナーは座っていて俺を見るなり
「あー なるほどね。」
と笑いながら言った。
俺がどういう状況なのかは既に伝わっているようだ。
姉の先輩も来ていたが挨拶もそこそこにその女性オーナーに
俺はカウンターの席に座らされタロットカードを切らされた。
そしてカードを伏せたままカウンターの上に広げろという。
広げ終わったら2枚ほどカードを選べと言われた。
この世ではない世界の神の絵と天使の絵のカードが現れた記憶があるが今となってはあまり覚えていない。
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しばらくの沈黙のあと紙に俺の名前と住所そして部屋の間取りを書かされた。
その女性オーナーは俺を見ながらこう言った。
「あなたが住んでるマンションね、昔そこの土地は竹やぶだったのよ。
そこに沢山のヘビがいたのね。でも建物立っちゃったでしょ。この世を去ったヘビが無数に見えるわ。
よくないね、あなたの勉強部屋。そのマンションで一番悪い位置だわね。」
みんな無言で聞き入っている。
「それとあなたの右肩あたり女の子が憑いているわよ。」
「えつ!」俺は背筋がゾクっとしたのを覚えている。
あの公園の女の子が俺の頭の中をよぎった。
俺の横に座っていた姉もハッとしたような感じになった。
「あなたとよほど波長が合うんだろうね。」
店はBGMもなくシーンと静まり返っている中、俺の咳だけが響き渡る。
どんな女の子なのか俺は聞きたかったけど聞く勇気もなかった。
重苦しい空気の中、姉が口を開いた。
「で、どうすればいんでしょうか?」
女性オーナーはゆっくりとした口調で姉に向ってこう答えた。
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