「ねえ お兄ちゃん『さかな』と『みぎ』って書いてなんて読むん?」
「は?」
俺は一瞬なんのことかわからなかった。
「漢字って難しゅうてよう読めんのよ」とその子は言った。
俺はその女の子の顔をまじまじ見た。
はにわみたいに無表情ていうか昔風の顔だった。
「それって魚へんに右ってこと?」俺は聞き返した。
「『へん』てなん?『さかな』と『みぎ』の漢字のこと聞きよるんよ」
そう言われますます何のことかわからなくなった。
「そんな漢字知らん。」
俺はこの女の子とかかわりたくなかったので
(母親が登場してきて変な風に思われたくなかったので)
その子を突き放すようにきつめの口調で言った。
そうしたら女の子はプイっと後ろを向き公園の奥にある滑り台のほうへ走っていった。
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丁度そのとき友達がやって来て持ってきたCDを受け取り
そのCDについて何だかんだとしばらく話をしていた。
もういい時間になり友達と別れ帰ろうとしたとき、
さっきの女の子のことを思い出し公園中を見渡したけどもう誰もいなかった。
家に着き洗面所でうがいをしていたら姉が入り口から俺をのぞきこみ
「あんた 変なもん連れて帰ったね」と言ってきた。
3つ年上でそのころ地元の短大に通っていた姉は昔から霊感のようなものが強く、
「見える」とか「感じる」とか子供の頃からよく俺は聞かされていた。
弟の俺は霊感なんてものは全くないし信じないわけじゃないが興味はなかった。
「はあ?何?連れて帰ったって?」
俺は姉に向かって面倒くさそうに返した。
「あんた 今日変なとこ行っとらん?」
「別に行っとらんわ 何や?変なとこって?」
「まあええわ とにかく玄関の外に一回出て」
「はあ?」
「はよー出て!」
姉の剣幕に押され俺は玄関の外に出た。
姉は台所から塩を持ってきて、玄関先に立っている俺に2~3度ほど塩を振りかけた。
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