看護師が少し困ったような顔をしながら、紙に何かを書いて渡すと彼女は笑顔になって、
「ありがとうございました。大丈夫です!」
と書いて俺に見せた。
彼女はろうあ者だった。
暫く二人きりで筆談し、趣味のことや小さい頃のことなど、色々なことを話した。
耳が聞こえないということを感じさせないほど前向きな人で、
本当に楽しいひと時を過ごすことが出来た。
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彼女は、
「もし良かったら、また来てくださいますか?」
と少し心配そうに聞いてきたので、
「では、またお邪魔します」
と答えて病室を後にした。
彼女と話すために手話を勉強し始めたり、好物のお菓子を持って行ったり…。
そんな関係が続いて二ヶ月ほど経った非番の日・・・