ある病院から火災発生の通報を受けた若い消防士
そこで救助した女性は・・・
5年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けた。
湿度が低い日だったせいか、現場に着いてみると既に燃え広がっていた。
救助のため中に入ると、一階はまだ何とか形を保っていたので、
そこを同僚に任せて先輩と二人で階段を昇った。
二階は見渡す限り火の海になっており、煙が廊下を覆っていた。
先輩は西病棟を、俺は東病棟の病室を回り要救助者を探した。
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出火場所は二階のようで、フラッシュオーバーの可能性も考えられ、時間との戦いだった。
東病棟を回って行くと、一番奥の病室にだけ女性が一人居た。
声を掛けたが、気を失っていて反応が無く危険な状態だったため、急いで抱きかかえて救助した。
数日後、俺は不意にあの女性がどうしているのかが気になり、
病院に連絡を取ってお見舞いに行くことにした。
看護師に連れられて病室へ行くと、彼女はベッドの上で会釈した。
改めて会ってみると、とても可愛らしい人だった。
「お体は大丈夫ですか?」
と聞いたが、彼女は首を傾げるだけだった。
なぜなら・・・