帰宅時にうちの近所でS君とばったり会った。
「こないだはありがとう。俺、転校してきてからとにかくイジメられんねんけど、こないだ助けてくれたおかげで、あれからはただ無視されるだけになってん。俺としてはそっちのほうがええから、ほんま助かった。うちのマンションすぐそこやから、寄ってってや」
みたいなことを言われて、マンションへ上げてもらった。
上がるとお母さんが、
「あんた友達できたの、よかったわ~」
なんて喜んで、
俺にいろいろ話しかけてきた。
結局それがきっかけでお互いの家を行き来するようになり、よく遊ぶようになった。
6年になっても変わらなかった。
釣りを教わったり、
チャリで遠出したり、楽しかった。
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6年の夏休み少し前に、
S君から
「また転校するんやけど」
と言われた。
お父さんが金融の仕事してるんで転勤が多いらしい。
がっくりしたけど、夏休みに最後、また釣りに行くことに決めた。
釣りの日の数日前、S君が晩飯時に突然、我が家に来た。
「実は、釣りの日に離れることになってしまって、だからあいさつに来たんよ。釣り行けなくてごめんな」
と。
わざわざ、
プレゼントまでもってきてくれた。
会うのはそれが最後になってしまった・・・
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