「最近の若い者は年寄りを立たせても平気なんだから」
「ちょっと前は罪悪感からか寝たふりをしたもんだが、最近じゃ寝たフリもしないからふてぶてしい」
かなり大きな声でした。
どうやら高齢男性は女性二人を座らせたくて若者に席を譲らせようと嫌味を言い始めたようです。
しかし、この後若者の一人が驚きの反論を始めました。
「あんたたちさぁ、山は歩けるのに電車では立てないの?それっておかしくない?
遊んできたんだろ?こっちはこれから仕事に行くところなんだよ。
だいたいさぁ、俺みたいなヤツが土曜日も働いてあんたたちの年金を作ってやってるんだって
分かってる?俺があんたみたいなジジイになったら年金なんてもらえなくて、
優雅に山登りなんてやっていられないんだよ。とにかく座りたかったらシルバーシートに行けよ」
これは相当痛い所をついてきました。
高齢者グループは押し黙ったまま、次の駅で降りて行ってしまいました。
恐らく車両を乗り換えたのでしょう。
この話は2005年の頃だから12年も前のこと。
一見、傲慢な高齢者の小言に逆ギレした若者が正論で言い返しスカッとした話に聞こえます。
しかし、時代背景を考えると年金の恩恵をたっぷり受けられる世代に対して、
少子化で自分が年金受給者になった時、満足な額など受け取れない
若者世代からの怨嗟のように聞こえなくもありません。